JUDF|スクーバダイビング 指導団体 全日本潜水連盟

一般社団法人全日本潜水連盟
Japan Underwater Diving Federation
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  • 2022.09/09

    鳥人間コンテスト 参加レポート

    JUDFメンバーをはじめ、多くの方にレスキューボランティアのご協力をいただいた「鳥人間コンテスト」ですが、参加者の方々より感想のレポートを頂きましたので以下に掲載します♪


    1)「鳥人間コンテスト」レスキューボランティア体験記

    2022年7月23・24日(土・日)に行われた、「JAPAN INTERNATIONAL BIRDMAN RALLY = 鳥人間コンテスト」のレスキューチーム ボランティアスタッフに参加してきました。
    たいへん面白い体験でしたので、ぜひJUDF関係者の皆さんにも内容をご紹介したく、レポートを書かせていただきます。

    この企画はご存じの方も多いと思いますが、非常に歴史のある大会で、今年で44回目を数える読売テレビの人気テレビ番組です。現在はカセットコンロなどでおなじみの「岩谷産業」がメインスポンサーとなって「Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト」として、年一回この時期に開催されています。(昨年は無観客開催、一昨年は中止)

    大会競技は琵琶湖の湖面を会場として、琵琶湖松原水泳場に巨大なプラットフォーム(飛行機の離陸台)を設営し、そこから人力飛行機が飛び出して、それぞれの飛行距離を競います。
    現在は、動力を持たないグライダータイプの飛行機にパイロットが乗り込んで高さ10mのプラットフォームからの飛行距離を競う「滑空部門」と、自転車のように漕いでプロペラを回す駆動機関を備えた人力飛行機の「プロペラ部門」の二つの競技が行われています。

    この企画のレスキュー部門の統括責任者はJUDF前理事の山本武宏さんが務められていて、例年JUDFにもボランティアスタッフ募集のお声掛けをいただいており、毎年数名の有志の方が参加されてきました。

    私も以前よりお誘いいただいていましたが、なかなか夏は忙しく行く機会がなかったのですが、今年は早めに予定をして参加してみました。

    競技日程は土・日の2日間ですが、今回私は初めての参加だったこともあり、打ち合わせやレスキューのトレーニングを含めて、大会前日、金曜日のお昼の集合でした。
    金曜日は、ベテランのレスキュースタッフの方から、レスキューの基本とトレーニング(ヘッドアップクロールによる溺者への接近、声掛けしながらのアプローチ、レスキューチューブの使い方、レスキューチューブを持っての水面移動、溺者へのレスキューチューブのかけ方、ジャックナイフ、水中水平移動など)を受け、夕方からは模擬飛行機としてパラグライダー等を使ったリハーサルを行いました。

    実際の競技は、土曜日に滑空部門、日曜日にプロペラ部門が予定され、早朝から夕方までのスケジュールとなっていました。

    レスキューチームは、関西大学、東海大学など例年参加している大学のダイビングサークルの方、毎年参加しているダイビング関係者の方、ボート関係者の方などからなり、今年は総勢60名近い大所帯でした。
    JUDF関係からは、山本さんの他、私たち夫婦と田嶋理事、東京海洋大学の学生さん2名の参加でした。

    レスキューチームは、今回は2台の水上オートバイ(ジェットスキー)、5隻のレスキューボート、プラットフォーム下のダイバーチーム の持ち場に分かれて、適当な時間で交代しながら活動を行いました。

    水上オートバイは、運転者の後ろにダイバーが乗って、着水したパイロットのレスキューにあたるのが1台、機体の破片などの回収に当たるのが1台。

    レスキューダイバーは、飛行機が着水したらパイロットの位置や状況を見極めてレスキューチューブを持って飛び込み、パイロットにチューブを渡してつかまらせます。パイロットがチューブにつかまったら背中側でチューブをロックして浮力を確保しカメラボートに運んで乗せチューブを外します。このポジションがレスキュー的には花形ではありますが、長距離を水上オートバイに乗るのは振動などの負荷も強く、責任とともにそれなりに体力のいる部署でした。

    ボートチームは、1隻のボートにオペレーターのほかに4名ほどのダイバーが乗って、レスキューの補佐と機体の回収などの作業を行います。
    事前に次のフライトのレスキューにメインにあたるボート2台を無線で決めておき、飛行機が飛び立つと同時にテレビ局のカメラボートと並走して飛行機を追います。


    機体が着水したら、1-2名のダイバーは飛び込んで水上オートバイのレスキューダイバーの補佐に入ります。水上オートバイより早くボートがついた場合には上記の水上オートバイと同様のレスキューを行います。


    パイロットのレスキューを終えたら、機体から小型カメラ(GoPro)とボイスレコーダーなどを回収します。ワイヤーなどで固定されているので、必要に応じて素潜りで潜ってニッパーで固定ワイヤーを切断します。この時には機器のケーブルを切らないよう注意が必要です。
    次に機体の回収です。飛行機のフレームのしっかりと強度のある場所を確認してロープをかけ、可能であればボートに引き上げます。機体が大きかったり機体の状態から引き上げが困難な場合にはそのままロープで牽引して、会場のハーバーまで搬送します。大きな機体の破片などは、周囲のボートや水上オートバイがネットで回収します。機体の牽引・搬送は時間をかけてゆっくり行うため、機体搬送以外のボートは次のフライトに備えてプラットフォームに戻ります。

    プラットフォーム下は、離陸後すぐに墜落した機体や、プラットフォームから誤って転落した人の救助などにあたります。例年はそれほど活躍の機会のないポジションだそうですが、今年は誤って転落する人が何人かいたため、それなりに活動ができていたようです。閑職と言えばそうかもしれませんが、真下から飛行機の離陸を見ることができ、合間には琵琶湖でのスキンダイビングなども楽しめ、のんびりしてなかなか有意義な持ち場でした。

     

    琵琶湖の状況やレスキュー活動時の環境について述べておきます。
    金曜日に到着した時(レスキュートレーニング時)には、前日までの大雨と強風で風波が立って水際がかき回され、透明度は数十センチという非常に濁った状況でした。しかし翌日以降は風も収まり波もなくなり、琵琶湖の水は思ったよりきれいでした。水が「川臭い」ようなこともなく、淡水ですからもちろんしょっぱくもべたつくようなこともなく、むしろサッパリと快適に水中活動を行うことができました。
    早朝から夕方まで丸一日中の屋外活動ですので、大切なのは日焼け対策でした。曇っていても紫外線量はかなり多いと思われましたし、日が差せばもちろん日差しはとても強く、帽子やタオル、日焼け止めの使用など日焼け対策が大切でした。

    そしてそれ以上に重要なのは、熱中症対策です。ウエットスーツを着てのスタンバイはなかなか暑いものがありますので、適宜水に入ったり水をかぶったり、体温調節が重要でした。また飲料は十分に供給され水やお茶、スポーツドリンクなどはたくさんありましたので、こまめにしっかり飲むことが大切でした。

    その他の制作側からのサービスとしては、宿泊、食事(全食お弁当:なかなかおいしいお弁当でした!)は負担していただけ、うれしいスタッフTシャツもいただきました。

    今回は初めての参加で、参加するまでは「何事も経験」的な気持ちで臨んでいたのですが、いったん参加してみると、たくさんの人が協力して感動を共有する場所であり、そういった点では地元の「よさこい祭り」にも似た、とても感動的なイベントでした。多くの人たちが、毎年この企画を楽しみにして、ボランティアで参加している気持ちがよくわかりました。

    実際に我が家でも「ぜひ来年も行きたい」という声が上がっており、来年もスケジュールがわかり次第、予定をしたいと考えています。

    放映されたテレビ放映を見てまた感動を思い出し、気持ちを新たにしています。

    興味のある方には、ぜひおすすめしたいイベントでした。

    (E-238 石﨑)

     

    2)念願の鳥コンレスキュー

    今回、初めて鳥人間コンテストのレスキュー活動に参加させていただきました。本活動については潜水部の先輩方がレスキューに例年参加しているという話を聞いておりました。私自身もこの番組が好きで、「レスキューに参加してみたい!」と思い、日々の練習に励んでおりました。そうした中で遂に念願叶っての参加となりました。

    今回私が担当したのはプラットフォーム下でのレスキューと着水した機体の回収でした。

    活動中に特に印象に残ったことは、滑空機の補助員がプラットフォームから落水した際の対応です。プラットフォームから落水する人は滅多にいないと長年経験していた方から聞いていて、油断していた矢先、補助員がプラットフォームから降ってきました。実際にレスキューが必要とされる場面はこうも唐突に訪れるのかと驚き、身体に緊張が走りました。

    普段実施しているレスキュートレーニングは、事前に要救助者がどのような状態にあり、救助者が何をすべきなどほとんど把握した状態で実施しているため、心理的に余裕があります。

    しかし、今回のレスキューは、着水の仕方や着水時の状況も一つとして同じものはなく、個別の事象に対して瞬時に的確な状況判断することが求められるリアルなレスキューだったと思います。私はその雰囲気飲まれてしまい、判断や行動が鈍っていたと思います。

    一方、その要求を満たした確実なレスキューを実施されるベテランの方々の動きは見事なもので、とても勉強になりました。

    今回のレスキューへの参加で、自分の経験不足や楽観的な考えによる想定の甘さを痛感しました。今後はただスキルを磨いていくだけでなく、有事を想定する考え方についても磨いていきたいと思います。

    また、今回得た経験を後輩らの指導にも生かして、部のモットーである「安全潜水」の実現に役立てたいです。

    来年は成長したダイバーとしてレスキューに参加できるよう精進してまいります!

    (大学生 U.Y.さん)

     

    3)鳥コン2回目の視点

    今回は昨年に引き続き、2度目のレスキュー支援への参加でした。当日は強風からのスタートでしたが、時間と共に勢いも弱まり無事に開催となりました。

    現地での活動についてはある程度の流れは理解できていたので、少しは余裕をもって行動できるかな、と気を楽にして会場に入ったのですが、はたして湖上に鎮座するプラットフォームを目にした途端、得も言われぬ緊張が走りました。頭の中では、これからなすべきことを必死にかき集めていました。

    やはりトレーニングとは違う、リアルなレスキューがここにあることを改めて思い出しました。

    とは言え、今回のJUDF関係の参加メンバーは皆さん初めての方ばかりです。事前の打ち合わせももちろんありますが、少しでもスムーズに進行できるようにフォローしていくのは自分の重要な役割です。当然、指示されたことだけをこなしていれば良いということはなく、常に「今おこなっているコト」、「次にやるべきコト」を考えていなければなりません。これにはまた違う形で緊張しました。

    今回は節々で、レスキュー運営側としての役割を手伝わせてもらう場面もあり、2回目の参加にしてとても嬉しいことでした。そのおかげで余計に気を抜けなくなったのも事実ですが、周囲に視野を広げて行動することの重要性に改めて気づく良いきっかけとなりました。

    さらに、多少は心にゆとりが持てたのか、前回以上にたくさんの方々と交流できたのは嬉しい成果でした。中にはJUDF以外の常連メンバーの方で、昨年参加していたことを覚えておられ、交流を深めることができました。日常生活では知り合うことの無いような方々との出会いは、こうしたイベントでの醍醐味でもあり、とても楽しいものです。

    さて、いよいよレスキュー実践についてのお話しです。

    今回も自分の担当は、水上オートバイからパイロットを救助するという役割でした。手順については一通り把握していますが、どのように着水するのかは毎回のフライトで異なるので、「ゲートオープン」のフラッグが出されるや案の定、緊張一色になりました。やはり何度経験しても、実践のレスキューは緊張します。トレーニングとは違いやり直しはおろか、ともすると人命に関わってくるという現実感が緊張を高めるのでしょう。そこでは常に冷静に、そして視野を広げ周囲も意識しておくことが重要です。何人ものパイロットを救助するにつけ、「今、何が起こっているのか」をきちんと把握することがベストな行動につながるのだと、少しだけ理解できたように思います。

    あれやこれやと、あっという間に感じた3日間でしたが、今年の鳥コンも非常に得るものが多く、とても有意義な時間を過ごせました。初めての時には気付かなかったようなことにも気付けたり、見えていなかったものが見えたり、色々と自身の成長につながる要素が盛りだくさんでした。

    レスキュー対応時の緊張はまるで変わりませんが、少しずつではありますが、周囲の状況を冷静に見ることができるようになってきたように感じます。

    大空を舞う飛行機を間近で見る素晴らしさもそうですが、自分にとっても学びが多くて、色々な意味で次回の鳥コンが今から楽しみでもあります。

    (E-373 田嶋)

     

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